戦争とトラウマ(中村江里)書評レビュー:忘れてはいけない日本史の一部。

 

今日紹介する本は「戦争とトラウマ・不可視化された日本兵の戦争神経症」中村江里。

忘れてはいけない過去の1つがリアルに描かれた歴史書。

目をそらしたくなるような内容だが、2度と同じことを起こさない為にもいろんな人に読んでほしい一冊。

「戦争とトラウマ・不可視化された日本兵の戦争神経症」中村江里

 

著者の中村氏は、一橋大学で社会学を専攻したのだが、大学生くらいの時に、精神科医の中井久夫らが中心となりトラウマやPTSD、戦争神経症の様々な文献を翻訳。

さらに阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件などが起きたので、社会的にもそれらに対する関心が高まった時に学部生、院生時代を過ごしたので、本書のような事柄に関心を持ったとのことである。

 

大学などでナチスの強制収容所に収容されていた経験を持つヴィクトール・フランクルや、プリーモ・レヴィに関心を持つ学生は昔から多かったが、実際に自国の戦争神経症などのPTSDなどに関する歴史的なことに関心を持ち、調査する学生、研究者はまだまだ少ないようである。

何よりも、自国の公文書が敗戦時に大量に焼却処分されているので、行政に問い合わせても閲覧できる資料がほとんどないことが多いことが原因なのだとのことである。

 

著者はそのような壁に突き当たったときに、陸軍病院や民間の精神科病院に残された医療に関する資料を調査して、さらには防衛相に残された記録を、個人情報が判らないようにマスキングされた状態で閲覧し、調査、研究を進めたとのことである。

 

そして、当時の歴史の流れ、つまり開国から欧米の先進国に追い付こうとしていた日本の状況や当時の日本社会の価値観なども参照しつつ、当時、どのように戦争神経症が軍部、社会で扱われていたのかも紹介して、さらに海外でどう扱われていたか、それに関して調査していた軍部がどのように考え対応に当たっていたかを紹介している。

 

当時の技術力においても生産能力においても貧しかった日本にとっては、軍人の精神力、大和魂などが拠り所だった。

そのため第一次大戦の時からヨーロッパ、米国で大きな問題となり、各国の軍部、政府共に対応に苦慮していた戦争神経症が、いかに都合の悪いもので、それらの対応に苦慮した軍部、行政、医学界がどのような対応を取り、そして戦後に見ないようにしてきたかを調査している。

 

現在でも動画サイトで、第一次大戦や第二次大戦の欧米の戦争神経症の患者について見ることができる。

 

それらを見ると、当時はいかにそれらが奇異で理解不能に見え、軍部、医学界、社会から疎外されたかについては、想像に難くない。

現在でも海外で旅行中にテロに巻き込まれ、実際に銃撃された自衛官が自らの陥った状態をインタビューで述べると、週刊誌でそれを非難する記事が出ていたことは記憶に新しい。

 

少し以前まで、航空機による爆撃は「空襲」、つまり、空が襲ってくるかのように捉えられていたことが、いかに銃撃や砲撃が日本人にとっては現在においても、自分たちの事から遠いことかを表している。

 

第二次大戦当時は、主に戦闘による死傷者が多かったのは、

太平洋の島々だったことから、傷病兵の後送は困難であり、多くの場合、その場で処分されていて、後送できたとしても、多くはその途中で、米軍により船舶ごと沈められたこと。

 

比較的戦闘による死傷者の少なかった中国戦線からの後送者が陸軍の病院に患者として収容されたことも、その後の医学界、行政、社会から無視されることにつながったという点も大きいとのことである。

そして、戦後の元軍人たちによる戦友会なども、お互いが不都合なことを話さないようにする要素として働いていたとのことである。

 

現在でも青少年向けに、架空戦記などが出版されて、それなりに市場があることを考えると、戦争神経症の理解どころか、敗戦の事実自体を、まだまだ受容することが困難なことなのだろう。

 

近代兵器を使って戦争をすることによる様々な影響について、医学がまだまだ対応できないことは当然なのだろう。

現在でも米国において、アフガン、イラクからの帰還兵がかなりの割合で帰国後にPTSDなどで社会生活が困難になり、米国の軍部、政府とも対応に苦慮している。

 

そのことを考えると、当時の日本の医学界、軍部、行政ともに対応できず、すこしずつ無視するようになったということも、今よりはるかに貧しく、精神障害への偏見が大きかった時代背景を考えると、本書に書かれているような状態だっただろうことがよく解る。

 

本書の著者である中村江里氏はまだ30代とのことだが、これだけの資料を調査して、一冊の本にまとめるというのは、日本においてまだまだ知られていなかったトラウマやPTSDに関するジュディス・ハーマンやフランク・パトナム、エイブラハム・カーディナーなどの著作を、中井久夫氏を中心とする神戸の臨床家たちが翻訳したことと、売れる見込みも無さそうなのに出版した出版社の業績は大きいと思う。

 

当時は多くの臨床家が、日本では児童虐待や、それによるPTSD、多重人格(解離性同一性障害DID)などについて、とても少ないかのように書いていたのだが、いかにそのような加害者のいる精神障害を認識するのが、医療、教育関係者であっても難しいかが、よく解る一冊。

 


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