ご主人様と呼ばせてください(サタミシュウ)書評レビュー:人間関係の不思議さが気になる1冊。

 

「ご主人様と呼ばせてください」

なんて刺激的なタイトルでしょうか。

私がこの本を初めて読んだのは、もう十年以上前です。

そして最近また、ふと読みたくなり再読しました。

以前は官能部分の過激さばかり見ていましたが……改めて読むと、人間関係の不思議さが気になりました。

「ご主人さまと奴隷」という、絶対的な安心感を与える関係。

そして、陰からご主人さまを操り、間接的に奴隷を調教する、ある一人の男性。

「SM青春小説」と呼ばれる、サタミシュウ先生のシリーズの第二弾です。

ちなみに前作「私の奴隷になりなさい」の数年後の話ですが、単体でも普通に楽しむことが出来ます。

全ての始まり

 

ただ、前作「私の奴隷に~」についても、少し触れておきましょう。

この本でも、「私=瀬尾」という男性が主人公です。

転職先の会社で出会った、若く美しい人妻「香奈」に一目ぼれした「私」。

熱心に口説きますが、なかなか靡きません。

しかしある時から、急に彼のアプローチを受け入れ深い仲になります。

香奈の魅力に取りつかれる「私」ですが、実はそれは彼女の「ご主人さま」の指示によるものでした。

ある日彼女の部屋で見つけた、たくさんのビデオテープ。

そこにはご主人さまと香奈の、驚きの行為が延々と映っていました。

そう、香奈はご主人さまの「奴隷」だったのです。

そこから、特殊な人間関係に魅了されていく私。

彼はなんとご主人さまと香奈の「卒業」に立ち会い、やがて今度は彼が、自由になった香奈の奴隷になりました。

彼女に捨てられて、早数年。

妻子と訪れた遊園地で、「私」は久々に香奈を見るのでした……。

 

ご主人様と呼ばせてくださいのあらすじ

 

そして本作、第二弾の「ご主人さまと~」は、前作の数年後から始まります。

香奈との出会いと別れを経て、別人のように老成してしまった「私」。

歳に合わない落ち着きを持ち、まるで燃え尽きたように淡々と暮らしていました。

そこで出会ったのが、「明乃」という女性。

特別美人ではないけれど、素晴らしい肉体の持ち主でした。

彼女と結婚し、穏やかな毎日を送っていましたが……。

やがて、新婚の妻がウェブデザイナーと浮気をしていることに気付きます。

「目黒」という彼と密会を重ね、情事を繰り返す妻。

そして彼は、行為中の写真を撮ることが好きでした。

それを知った「私」は妻と不貞相手に復讐するどころか、新たな楽しみを思いつきます。

彼を脅し、陰から操ること。

訴えない代わりに、彼に指示を出し、妻を「奴隷」として調教させるという、驚くべきものでした。

そしてそれは復讐ではなく、こういった形でしか得られない、彼だけの喜び。

戸惑いながらも「私」に命じられるまま、「ご主人さま」としてのめり込んでいく浮気相手。

そして何も知らないまま、どんどんエスカレートし、淫らになっていく明乃。

しかし「私」には、明確な意思がありました。

「始めたことは、いずれ終わらせなくてはならない」

最初から決めていた幕引きは、驚くべき形でした……。

 

どこまでもクールな「私」

 

前作も面白かったけれど、私がこちらを好む理由……それは語り部である「私」が、とてもクールでカッコイイからです。

特殊な経験を経て、どんな状況にも動じず、冷静に振舞えるようになった「私=瀬尾」。

そして自分のルックスの良さを十分に活かしながらも、自惚れることはありません。

妻に浮気をされても、少しも怒ったり、我を忘れたりしない。

それどころか、自分の計画に冷静に組み込む……ある意味、とても恐ろしい人物です。

これなら普通に浮気をなじり、責めてくれたほうがマシだ!と思うくらい。

 

しかし彼は、心の底から冷たい訳ではありません。

最終的に、妻には何も知らせないまま、この異常な三角関係を終わらせます。

それは「明乃を妊娠させる」という、意外なものでした。

浮気相手には徹底的に避妊させ、妻とは性行為をしないと思わせながら……彼女が薬で眠っている間に、妻を抱く。

そして妊娠した時、当然妻は、浮気相手の子だと思ったことでしょう。

でも、この子を産まなければいけない。

それも、夫の子として……そう決意した明乃は意を決して、自ら浮気相手に別れを告げました。

そして彼は浮気相手に、二度と彼女と会わないことを約束させる。

突然ブツリと関係を絶たれたことで、浮気相手には絶望と混乱が残ります。

しかし「私」は知っています。

かつての自分と同じく、この経験が浮気相手と妻の中に、新たな芽を育てることを……。

そして彼らもやがて、自分なりのやり方で、それぞれの物語を紡いでいくことを。

 

ちなみに結論から言うと、やはり明乃が産んだのは正真正銘、夫の子でした。

産まれた子がスクスクと父親に似てきたことで、明乃は内心、どれほどホッとしたことでしょう。

そして同時に、

「自分はいつ、夫と寝たのだろう?」

という恐ろしい疑問を抱くことになります。

それを承知で、何も言わない夫……。

彼が最後に妻に与えたのは、許しでした。

幼い息子を寝かしつけた後、

「もう一人作ろうか」

と提案すること。

知り合いの小説家(前作でも登場しました)には、

「君は優しすぎる」

と言われましたが……。

 

独特な構成の面白さ

 

そして私が本作を面白いと思ったのは、独特な展開でした。

章ごとに、語り手が入れ替わるのです。

「私=瀬尾」から始まり、妻の浮気相手「目黒」視点になり。

そして時には「明乃」のメールの文章を引用し、彼女の視点に入れ替わります。

今では懐かしい「チャットルーム」での会話のログをまるまる引用し、妻と浮気相手(を装った夫)の、エロティックな会話を載せた章も……。

 

また「私」は浮気相手に命じ、妻との情事の写真と、彼女からのメールを全て載せたサイトを作らせます。

ウェブデザイナーの力をフルに使い、素晴らしいサイトを作れと。

そして指定のサーバーとドメインにアップさせ、自分と浮気相手、そして妻の三人だけが見られる状態にする。

それを見ることで、明乃はますます刺激を受け、能動的に色々な行為を受け入れるようになります。

 

そして異常な状況に翻弄されながらも、いつの間にかサイト作りに没頭していく浮気相手……。

「素晴らしいものが出来たぞ」

「夫も、これほどの出来ばえとは思うまい」

と、プロとして誇らしげなのが、おかしくて……。

 

まだまだ続く、シリーズ

 

「私=瀬尾」が語り部なのは本作までですが、実はこの後に出た第三弾。

「おまえ次第」という続編では、浮気相手の「目黒」が主人公を務めます。

明乃との関係を絶たれてから、早数年。

例の出来事から、奴隷を調教することに魅了された目黒は、何人もの女性と関係を持っています。

美しい妻と結婚し、彼女は妊娠しているというのに……。

でも彼の中には、いまだに明乃の空けた穴が、ぽっかりと。

彼が辿る意外な結末は、ここでは伏せますが……「おまえ次第」は、ちょっとコメディ色が強い作品です。

 

そしてこの後も主人公を交代させ、高校生男子・美樹が主人公の「彼女はいいなり」など、どんどん続いていくのです。

このシリーズ、同じ世界を舞台にしているので、続編でも懐かしい人達がチラリと出てくるのが嬉しいです。

主人公が遊園地で見かけたのが、実は香奈や瀬尾、明乃だったりして……。

少しややこしいですが、お馴染みの人物が再登場する場面を探すのも、楽しいです。

 

サタミシュウ先生の正体

 

サタミ先生は、当初から有名作家の別名義と言われていました。

直木賞作家らしいとも。

巷では重松清先生では?と言われていましたが……シリーズ最終作の最後に、正体がさらっと書かれていました。

私には、意外な人でしたが……そちらも合わせて、どなたか予想してみて下さいね。


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最後まで読んでいただきありがとうございました。


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