男振(池波正太郎)書評レビュー:痺れる男の生き様に触れられる本

 

今日紹介する本は「男振」:(池波正太郎)。

現代人の心にも響く、爽やかな1人の男の半生

 

「男振」(おとこぶり)は、数奇な運命を生き抜いた男の半生と、周囲の人々を描いた物語だ。

時代劇を多数書いている池波正太郎先生の作品で、これは連載中から読者の反応が良く、作者自身も気に入っているのだとか。

そんな一文をエッセイの中で読み、この「男振」を手に取った。

幸いなことに、池波フリークの父が文庫本を所持していたので、書店で探さずに済んだのは、有難かった。

父もこの作品が好きなのか、次に実家に帰ったらじっくりと語り合いたい。

本作品は江戸時代が舞台だが、現代人の胸にも、強く響く。

人の心が持つコンプレックスや苦しみ、悲しみや慈愛は、現代人と少しも変わらない。

そんなことを、改めて感じさせられた。

 

 

主人公の堀源太郎は、下級武士の家に生まれた少年。

優しい父母を持ち、江戸屋敷で若殿さまの学友に選ばれて、前途揚々だった。

だが十代後半から突如、頭髪が抜け落ちる奇病にかかってしまう。

周囲に好奇の目で見られ、髷も結えず。
故郷から離れた江戸藩邸で、屈辱に耐える日々。

更に若殿様に頭部を侮辱されて激怒し、堪らず相手をぶん殴ってしまう。

しかし、本来なら死刑になってもおかしくない重罪なのに、なぜか名前を変えて、「堀小太郎」として生きることを許される。

どうやら藩の長老が、秘かに庇ってくれているようで……。

国許の自宅に帰った源太郎を、父は優しく迎え入れる。

屋敷の女中や若党や爺やも、源太郎の味方だ。
しかし、元許嫁に禿げ上がった頭を見られ爆笑され、思わず刀を抜いてしまったり。

源太郎の苦難は続き、家族も心を痛める。

そして、江戸からは

「妻を娶るな」
「養子を迎えて、家を継がせよ」

と更に追い討ちをかけるような指令が届く。

さすがに気の毒だと、世間の人にも同情される主人公。

そんな中、父の慈愛に源太郎は力付けられる。

一生日陰者でも構わない、父上が死ぬまでは生きて、孝行を尽くそう。

そんな悲しい凪のような境地に達した源太郎は、大工仕事の面白さにも目覚め、静かに暮らしていく。

 

しかし、自宅で謹慎させられて、更に数年後。

かつて源太郎を侮辱した若殿が、病を得て急死した。

その直後。

突如迎えが来て、速やかに江戸へ逃げるよう言われ、父子は驚く。

実は源太郎は、藩主の血を引く隠し子だったのだ。

そのことを知るのは、父と一部の重臣のみ。

亡くなった若殿の代わりに、源太郎に家督を継がせようと画策する者達。

そうはさせまいと、源太郎の命を狙う正妻達。

正妻は将軍が溺愛する妹であり、彼女には夫である藩主も、多数の臣下達も逆らうことが出来ないのだ。

お家騒動に巻き込まれ、命からがら江戸へと逃げる彼は、自分を生かす為に犠牲になる者達を見て、激しく苦悩する。

 

第一、二十歳を過ぎて、いきなり

「藩主になれ」

と言われても、納得出来るハズがない。

 

今までは、一生日陰者のつもりでいたのだ。

何より源太郎にとっての親は、亡くなった母と、どんな時も自分を庇い続けてくれた、偉大な父しかいないのだ。

会ったこともない藩主を親と思えるハズがない。

また、今まで飼い殺しにしてきた癖に、若殿が死んだとたんに自分を担ぎ出す者達にも、源太郎は反発する。
私には、その心は当然だと思える。

血の繋がりや武家のルールより、自分の感じたモノを優先する彼に、自然に共感してしまう。

 

やがて彼は数々の出会いを経て、町人の生き方に惹かれていく。

遂には、武士を捨てる決心をするのだが……。

そこには、自分の為に骨を折ってくれる大工達や、自分の禿頭を見ても自然に接してくれる、その娘達の存在が大きかっただろう。

終盤で十数年ぶりに義父の許を訪れた源太郎は、禿頭に負けない、堂々とした立派な男になっていた。
まさに、良い「男振り」だ。

 

奇病による禿頭と、思いがけない出生の秘密に翻弄され続けた源太郎。

源太郎を命がけで助ける、剣士の原田小平太や、大工達が清々しかった。

「この禿頭さえなければ」

と苦しみ続けた源太郎が、やがて自分の道を選び、頭がピタリと似合う逞しい男に成長していく。

 

そして何より、実の親以上の愛情で結ばれた、養父・源右衛門が素晴らしい。

どんな時も息子の味方であり続け、息子は不幸続きの中で、父親の優しさに慰められ、励まされてきた。

病に倒れた父の為に、若き源太郎が特製の読書台を作り、プレゼントする場面がある。

息子の優しさが嬉しいのと、謹慎中の彼への不憫さがない交ぜになって、養父は耐えきれず号泣してしまう。
読みながら、私もつい貰い泣きしてしまった。

養父や女中の「およし」、下男や中間。

 

堀父子と使用人達の間には、確かな情愛が通っている。

そこが暖かく、何とも素晴らしい。

誰か一人でも味方でいてくれれば、不幸のどん底でも、人は力が湧いてくる。

そんなことを、改めて感じさせられた。

遠く離れても、実の親子じゃないと知っても、変わらず父と子であり続けた、二人の情愛が素晴らしい。

親子とは血の繋がりだけではなく、共に過ごした時間で作られるもの。

それも、本作のテーマだったように感じる。

 

1人の男の生き様と親子の愛情が感じられる作品。


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最後まで読んでいただきありがとうございました。


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