女たちの家(平岩弓枝)を読んで:挑戦に年齢は関係ないことを思い知らされる

 

「女たちの家」は、平岩弓枝先生のかなり前の小説です。

最初の刊行は、昭和55年だとか……もう、40年ほど昔ですね。

確かに携帯電話どころか、普通に公衆電話を使っていたり。

「インベーダーゲーム」など、昭和を感じさせる描写がアチコチにあります。

ちょっとした言葉づかい(ナウい)とか。

でも全体では、あまり古い印象がありません。

ストーリーも、ごく普通に現代に置き換えることが出来そう。

60歳を前に夫に先立たれた専業主婦が、初めてのことに挑戦する……。

新しい世界を知る楽しさ、働く充実感、心の通い合い。

今読んでも、とても楽しいし、心に響きます。

 

女たちの家のあらすじ

 

青山はるみは、60歳前の専業主婦。

企業戦士だった夫が突然死し、平穏な毎日があっけなく終わりを告げます。

夫の死を悲しむヒマもなく、生さぬ仲の息子(亡くなった先妻の子)は、財産分けをしろとエゴ丸出し。

仮にも養母に向かって、思いやりがない態度……姉や甥、夫の弟の成二は味方してくれるが、はるみは深く傷つきます。

その上、夫の退職金を狙う詐欺師に騙されそうになったり……。

かと思えば、夫の友人の医師に求婚されたりと、まさに目が回るような毎日。

そんな中、はるみは人生の岐路に立たされました。

このまま、夫の残したお金で食いつなぐのか。

それとも知人の求婚を受け入れ、再婚するのか。

もしくは夫の夢だった、ペンション経営に乗り出すのか……。

 

彼女が選んだのは、最後の選択でした。

亡き夫が

「退職したら、二人でペンションを開こう」

と語っていた夢を、実現させたい。

でも今まで専業主婦で、ツテも自信もありません。

しかし、彼女の夢に甥っ子の要介が乗ってきました。

実は一流会社を辞めて、自分で商売をしたいと密かに計画していた彼。

叔母の夢と自分の夢を合わせて、素敵なペンションを開こうと提案します。

そして知人の娘や、その娘婿・哲夫など、たくさんの若者たちが自分の夢を託し始め……。

はるみは無事に、ペンションを開くことが出来るのでしょうか。

 

女たちの家の「一番の魅力は、主人公

 

平凡な専業主婦だけど、明るく大らかで、歳の功もある。

若者たちに比べて頼りない面もあるけれど、時には彼らにとって暖かい、母親のような存在。

そんな女主人公・はるみは、とても魅力的です。

夫の死や義理の息子の仕打ち、詐欺未遂などに打ちのめされても、彼女は再び立ち上がります。

桐野夏生先生の「魂萌え!」に、少し近いお話かもしれません。

そしてこちらは、ある意味で群像劇でもあります。

思い切って一流商社を辞めた、はるみの甥・要介。

そして気のいい青年・哲夫。

 

夫の弟で、はるみにとっては義弟にあたる成二も、苦労人で優しい男性です。

学はないけど腕の良い板前で、スッポン養殖に力を入れる成二。

でも、息子の受験に夢中で思いやりのない妻・良子との仲は、しっくりいっていません。

そして親戚の娘ながら、成二夫婦が赤ん坊の頃から育てて来た、花緒の縁談など……。

何かと苦労が多い成二にとって、優しくて思いやりのあるはるみは、心のオアシスのような存在。

かと言ってやましい気持ちはないのですが、男女だけに妻に勘繰られたり、何かと気を使います。

そう、この物語は、はるみを中心とした人々の群像劇なのです。

 

ペンション経営の苦労

 

初めてパスポートをとり、イギリスの本格的なペンションまで勉強に行った一同。

現代の感覚より、海外旅行がものものしい感じです。

今から、何十年も前の小説ですものね……。

はるみの

「自分の若い頃は戦後だった」

という述懐とか、ところどころで昭和っぽさを再確認します。

もっとも視察自体は得るところが多く、高名な建築家・宇野立夫と知り合ったり……。

思いがけず、彼にペンションの設計をしてもらったりと、幸運にも恵まれました。

そして奥浜名湖に作った、皆の夢を託したペンション。

名前は「ぺんしょん・せいざん」です。

 

しかしオープン当初は閑古鳥が鳴く毎日で、張り切っていただけに、皆は辛い毎日を送ります。

新しい看板が功を奏して、少しずつお客が増えますが……。

へこんでいた時に来てくれたのが、一人の初老紳士。

「例え一人だけでも、心を込めて精一杯のおもてなしをしましょう」

そう言ってショゲる仲間をはげまし、皆の気持ちを引き立てるはるみ。

もとは普通の専業主婦だけど、彼女なりの人生経験や、年齢相応の度胸が発揮される場面です。

気を取り直して、最高のもてなしと、美味しいフランス料理を用意するメンバー達。

するとお客が少しずつ訪れ、紳士を

「福の神かも」

と喜ぶ一同ですが……紳士については、思いがけないオチがついていました。

まあ、それは実際読んでのお楽しみということで。

 

何もかもが手探りの中、少しずつ軌道に乗るまでの時間が、どれだけ苦しかったことか。

じりじりしながら、読者もはるみの大らかさに救われていました。

 

メンバーそれぞれの悩み

 

そして、はるみ以外のメンバーも、それぞれの悩みや問題を抱えていました。

義弟・成二は前述の通り、息子の東大受験と、妻との不仲。

要介は成二の義娘・花緒との恋と、ペンション経営。

気のいいメンバー・哲夫は、別居する妻の不倫など。

 

哲夫はとうとう妻・治子と別れますが、ある日突然彼女が、ペンションの客としてやってきます。

しかも、不倫相手の男性と一緒に……。

何とか動揺を抑えて接客する哲夫ですが、ペンションからの帰り、二人は帰らぬ人になりました。

治子が仕掛けた無理心中との見方もあり、優しい哲夫はショックを受けます。

「例え治子が仕掛けた無理心中だったとしても、治子が可哀想で仕方ないんです。そこまで彼女を追い詰めた、相手の男が憎いんです」

そんな心情をはるみにぶつけ、はるみは母親のように彼に寄り添います。

 

また、密かに恋を育てていた要介と花緒。

しかし

「ペンションが軌道に乗ってから」

と拘る彼を待ちきれず、花緒は義母の薦める相手と、見合い結婚をしてしまいました。

お互いに結婚したい気持ちがあっても、すれ違ってしまった二人。

半端な状態で結婚したくない要介と、それが分かっていても、焦りを止められない花緒。

どちらの気持ちも、分かる気がします。

 

しかし花緒が結婚した相手には、とんでもない問題がありました。

ある日突然、婚家から逃げ出してきた花緒。

彼女の話を聞くのは、やっぱり年長のはるみの役目です。

お腹がペコペコの花緒に

「まず食べなさい」

と差し出した、熱々のビーフシチューにガーリックトースト、紅茶。

美味しそうで、読んでいて生唾が出て来るほど。

この小説、実に食べ物の描写が美味しそうなんですよね。

苺のクレープだの、ペッパーステーキだの。

花緒は夫と離婚して、今度こそ要介と結ばれるのか……?

と思いきや、意外な人物と結ばれます。

まあ、本人たちは幸せそうなので、良いのかな。

 

息子が東大に受かったことから、成二と妻・良子の不和は、決定的なものになりました。

家を飛び出してしまった良子。

「どうして追って来てくれないのか」

と夫を責める良子を、はるみは静かに一喝します。

「貴方がいない間、成二さんは必死に家を守っていた」

と。

どの家庭にも起こり得る、すれ違いや価値観のズレ。

それらに、どう向き合うのか……。

はるみ自身も、ことあるごとに亡き夫・成一に、想いを馳せます。

 

そうそう、嬉しいことに、前半で冷淡な仕打ちをした義理の息子・誠が、途中で軟化します。

苦労したことで、自分の行いを恥じたのでしょうか。

はるみが困った時、夜中に車を走らせて来てくれた、彼の頼もしさ。

読んだ後に、ほっこり心が温まる小説です。


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最後まで読んでいただきありがとうございました。


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